2016/04/15

三寒四温の日々

春らしくなったと思えば、また冬のような冷たい風が吹き荒れるといった、毎日日替わりメニューのような気まぐれな天気です。
山道から見える沢筋には水芭蕉が咲き始めました。まだ山の中は寒いので、ポツポツとしか咲いていません。 この間のショウジョウバカマは蕾だったのでしょう。今は赤味も増して細い花が全部開いています。 春蘭も首をもたげていますが、花の中はなかなか見せてくれません。 山の小さな丁字桜も満開に近いところもありました。 家の斜面に一つだけ福寿草が出ていました。こんなところに植えたことはなく、どこかから種が飛んで来たのでしょう。ということは来年以降もまだ増えるかも知れません。
ある日のお昼に、お寿司が食べたくなりました。そうだ! 前の日活きの良いトビウオを買って、片身を酢〆にしたのがある!これを寿司飯の上に散らそう。残りご飯でしたが、温めて、夏みかんの酸っぱいジュースを混ぜた寿司酢を作り、ご飯には煎り胡麻と酢漬け生姜の千切りを混ぜ、菜花の茎立ちを茹でて塩味を付けて載せ、錦糸卵を散らしました。トビウオがさっぱりとして半透明の身が美しく、美味しかった!

2016/03/30

春が来た!

3月28日、春になって初めて二人で散歩に出かけました。ただ道を歩いてもつまらないので、すぐに雪の融けているけもの道みたいな山道に入りました。まだ下草が出ていないので、木を払いながら歩くことができました。ところどころに雪が残っていますが、歩きやすい道です。よく見ると春蘭があちこちにあり、葉をかき分けると蕾が付いていました。蕾はまだ這いつくばっているのですが、もうすぐ頭をもたげて開くでしょう。日当たりの良い南斜面にはイワナシも見られました。一株だけ蕾を付けていました。何と桜も一枝蕾を付けていました。でも何と言っても、咲いていたのは丸葉マンサクだけでした。春になると「まず咲く」からマンサクなんですね。
いつも調理台の上で決まった置き場所が無くて、そこら辺に置かれて肩身の狭い思いをしていた包丁! 使いよいキッチンの本に出ていた包丁置きを夫に見せて、似たようなものを作ってもらいました。天然木で、感じがよい包丁置きが出来て、包丁もいつも拭いてもらってうれしそうに見えます。
この冬もまたオリジナルなルームシューズを作りました。毛糸のソックスの底を切り取ったものを、足の長さに合わせて切った長靴の中敷きのフェルトに縫い付けて、靴の形にします。無理に拡げているので、ソックスの切り口がほつれないように毛糸で細編みを2段編んでから縫い付けました。このフェルトは真っ白だったので汚れが目立たないように黒いウールの布を同じ形に切って、底に縫い付けました。暖かさも増しました。作る度にひとつひとつ履き心地が違って、お気に入りになる物とそうでもないものに別れます。これはちょっときつめで、履き心地はいまいちのルームシューズになりました。こういう毛糸のソックスは今どこにも売っていないので、L.L.Beanの通信販売で買っています。
冬でないと出来ない保存食のひとつにベーコンとジャンル—があります。今年も夫がベーコンを作ってくれました。これは写真無し。ジャンルーは、中華風のベーコンと言える物です。豚バラ肉の塊を4日間香辛料入りの醤油に浸けます。使う香辛料は、生姜、赤唐辛子、葱、八角、花山椒の実あるいは黒胡椒の粒です。浸けたら取りだして、寒風に4日間晒して干します。すっかり縮まった肉を蒸し器で45分蒸してできあがりです。 小分けして冷凍しておきます。香りの付いた醤油の旨みがしみ込んでいるので、チャーハンの具に、中華ちまきの具にも、また煮物の出汁とアクセントになり美味しいです。
冬のために大根を沢山買い込んだのですが、余っています。このところ良い天気が続くので、せっせと干し大根を作っています。ただ皮を剝いた大根の輪切りをざるに並べて干すだけです。皮もきれいなところは普通の千切りの切り干し大根も作ります。皮の部分の切り干しなので、煮物より酢の物やはりはり漬けに向いています。切ったときに一面拡がって並べるのも大変だったのに、干し上がるとこんなに小さくなります。 大根の料理で面白いのは「大根餅の途中下車」です。これは料理雑誌『四季の味』に素人の料理が出ているコーナーがあり、大根餅を作る途中で、米粉を入れて蒸し固めるところを省略して炒め物で終わりにしたという料理ですが、これがとても美味しいので、私の自慢料理にしています。
今年の冬はキャベツが大きくてお安いので、ただ煮込むのはつまらないと思い、ドイツやフランスのキャベツ料理の『ザワークラウト』を作り始めたら美味しいので、何回も作っています。これは発酵して酸っぱくなったキャベツですから、他の野菜と一緒に豚肉やソーセージを煮込むととても美味しく、たくさん食べられます。野菜をたくさん食べることは重要ですから、冬に便利な料理です。 作る時は千切りにしたキャベツを2%の塩を振って瓶や桶に入れ重石をして常温で放置するだけです。2日ほどすると泡が出てきて臭いが酸っぱくなったら、今度はもう3日ほど涼しいところに置いたらできあがりです。一度にたくさんできるので冷蔵庫で保存します。紫キャベツでも作ってみました。こちらは煮込むと色が悪くなるので、もっぱらサラダにしています。また思いついてお焼きに入れたらとても面白くて美味しかったです。小麦粉と大和芋のすり下ろしと水で衣を作り、紫きゃべつと小女子かじゃこを入れて、フライパンで焼きます。
3月半ば過ぎのある日の昼食は珍しくきれいに整いました。金目鯛の潮汁、炊き込みご飯、蕪と鮭トバのマリネサラダ、鶏レバーのコンフィ、付け合わせの野菜、紅大豆の煮豆でした。コンフィはさっと湯通ししたレバーに下味を付けてジップロックに入れて、オリーブオイル(とニンニクとローレルも)を被るほど入れて袋ごと鍋に浸けて弱火で茹でます。

2016/03/03

日々の楽しみ・自家製おやつ

これはリンゴと胡桃のクランブルケーキです。クランブルというのはポロポロの、粉々の物という意味で、砂糖とバターと粉をぽろぽろにしたものをリンゴとくるみのみじんぎりがはいったケーキの上に載せて焼くケーキです。最後に粉砂糖をふりかけてできあがりです。
プルーンの小さく切ったものを入れたスコーンです。バターの代わりに菜種油を使っています。風味は落ちますが、家で食べるおやつとしてな上等です。
孫娘のYちゃんと次男のTの誕生日が2月の末に集まっているので、二人のために焼いたクッキーです。スコットランドのお菓子の『ショートブレッド』を作りました。これはサクサクしたという意味の『short』と、クッキーなのに、何故か『bread』という言葉をつなげて、ショートブレッドというのです。面白いですね。材料は小麦粉(薄力粉)とバターと砂糖が、3:2:1という分かりやすい分量です。でも私はバターが高くて品薄なので、3分の1を菜種油で代用していますが、美味しさは変わらないと思います。でもバターは絶対に有塩バターを使わないといけないのです。もし無塩バターを使うときは塩を加えます。 もちろん自分たちのためにも少し小さめのを焼きました。焼けたら柔らかいうちにナイフの背で切り目の筋を入れて、またオーブンに入れてじっくりと弱火で焼き締めるのです。焦げ目は付けてはいけません。このクッキーは本当に粉とバターの美味しさを味わう物ですから、粉は北海道産の上等の粉を使います。

2016/02/25

穏やかな今年の冬の日々



醤肉(じゃんるー)は寒風が吹く冬にしか作れない物なので、忘れずに作っておかなくては。十数年前にたまたまTVでみた陳建一さんのお薦め料理です。豚バラ肉のかたまりを、5つの香辛料(生姜、葱、八角、鷹の爪、山椒の実、ないときは粒胡椒)を入れたたっぷりめの醤油に漬け込み4日間。私はファスナー付き袋を使い、冷蔵庫内で毎日ひっくり返します。それを取り出し寒風の吹くところに吊して、4日間干します。(最初の写真)このままでは生なので、40分どんぶりなどに入れて蒸します。どんぶりの下に溜まった肉の旨みが沁みた醤油味の汁がまた美味しいのです。出来上がった醤肉は小分けにして、冷凍しておくと、いつでも色々な料理の使えます。特に美味しいのはチャーハン、大根との炊き合わせ、他にも切りなく考えつきます。まさに中華風ベーコンです。






ある夜の鍋料理は『庄内名物のどんがら汁』でした。大きな真鱈のぶつ切りと、雄の菊子(白子)と白菜、大根、葱、豆腐、などを味噌味でいただく物です。この日は長井・長沼酒蔵の特上酒粕も入れて、青物は山形のほりごめ芹にしました。根っこも使います。長男、次男両君の推薦の芹入り鍋、上手かった—!





時々お昼ご飯に登場するパスタです。

上のパスタは自家製塩豚の薄切りとアスパラ菜のトマトソースパスタ。アスパラ菜は冬に美味しい山形の野菜で、太い茎もアスパラガスのように歯応えよく、菜の花も付いていて味わい深い野菜です。

下のパスタはトマトソースを上にかけたもので、イカの千切りと塩麹漬けの豚肉薄切りと玉ねぎと舞茸入りのソースです。周りの青い葉っぱは宮城県産ちぢみ雪菜を茹でたものです。こちらはたっぷりパルメザンチーズをふりかけました。





今年の節分には大豆をひと晩浸水させてから、水気を切って、良く乾かし、オーブンで150度、40分焼きましたら、美味しい「煎り豆」が出来ました。豆は夫のお気に入りのおつまみになっています。それを砕いて、胡麻の代わりにほうれん草の和え物を作ったら、結構美味しかったです。











我が家の周りの雪を巡る色々な風景です。ちょっと寒かった頃に電線に絡みついた雪の団子は半日以上落ちませんでした。今年のつららは細くて可愛いですね。厳しい冬は観るも怖ろしげな長いのが垂れ下がりますが、今年は違います。夫が除雪車を動かす日もとても少なく、周りの雪の壁はいつもの年よりずっと低いので、眺めていても気楽です。




2016/01/25

福田進一先生の還暦記念コンサート

1月23日に東京渋谷区富ヶ谷の白寿ホールで、我らが愛する福田進一先生の生誕60周年記念のコンサートがありました。昨年秋にチケットを申し込んでおきました。わずか2週間で完売となったそうです。福田さんのコンサートはいつでもどこでも大人気です。白寿ホールは300席なので、ギターには最適なホールです。先生の奥さまは、庄内町ご出身のグラフィックデザイナーの上野華恵さんなので、2005年の第1回庄内国際ギターフェスティバルの時からの私たち夫婦の知り合いで、良いお友達です。センスが良くて、聡明で、明るい方です。
実は23日の朝から我が家を出発するのは不安でした。この辺の雪はいつどかっと大雪になるか知れないので、電車が停まってしまったら行けなくなります。前日のうちに米沢市内のホテルに泊まって、朝できるだけ早い時間に新幹線に乗ることにしていました。ところが、18年間使った全自動洗濯機が5日前に突然壊れるというハプニングがあり、新しい洗濯機が22日の昼過ぎに配達されて、それを設置してからの出発になりましたが、お天気も良く、予定どおりに家を夕方までに出ることができました。 せっかく上京するのだから、他にも用事を済ませた方がよいので、夫は学生時代の先輩のKさんとのお昼の会食を計画し、私も何十年ぶりの懐かしの高校時代の後輩とのご対面とランチをご一緒する予定でしたが、こちらは彼女のご都合が悪く次の機会を待つことになりました。 23日の朝は冷え込んだものの、雪が積もっていなかったので、朝7時38分米沢発のつばさ号に首尾良く乗れました。冬のこんな早い時間に新幹線に乗れるのは奇跡みたいなものです。福島、大宮、東京しか停まらないこのつばさ号、東京駅には9時半過ぎに着きました。
東京駅から徒歩で10分ほどの三菱1号館美術館の『プラド美術館展』を観ることができました。田舎に住んでいるとこういう世界有数の美術品の展示を観られるのは希有なことです。古くて狭い建物の部屋をぐるぐる歩き、小さい絵が多いので、しかと観るのは大変でした。スペイン王室の財産であるこれらの絵画は、オランダやイタリア、フランスなどから前世紀と今世紀になって購入したり、19世紀ぐらいに税金の代わりに物納されたり、画家の遺族から遺贈されたりした絵画のコレクションで、エル・グレコ、フランシスコ・デ・ゴヤ、ディエゴ・ベラスケス、グイド・レーニその他の作で、主に宗教画と風景画、静物画で成り立っていました。おまけに館内は、寒めに調整されているはずの暖房がコート片手の私には効きすぎと感じられ、最初にコートを預けるべきだったと思うも後の祭り。
夫と別れて私は富ヶ谷の白寿ホールの近所にある天然酵母・国産小麦のパン屋さんの「ルヴァン」へ向かいました。併設されているカフェ『ルシェル』に入り、美味しいパンとスープとサラダの軽い昼食をいただきました。ここは数年前に次男Tの嫁のKさんが、『張り子とマトリョーシカの展示会』をやらせてもらったところなので、スタッフにお礼を言い、美味しいパンを食べたかったのです。ルヴァンの皆さん張り子展をよく憶えていて下さり、棚には『ロバ君』、壁には『パンの守護神のサントノレ』の張り子が飾られていました。幸せな張り子たち!残念ながらカメラを持っていなかったので写真は無しです。
 ゆっくり休んでから白寿ホールへ向かいました。夫もやってきて、いよいよエレベーターで7階のホールへ。華恵さんのありがたいご配慮で、指定席は何と福田先生のお母様のお隣という素晴らしい席でした。ホールに入ったらもう写真撮影は禁じられているのですが、私たちが席に着こうとしているのを台湾のギタリストで福田先生の大ファンの葉登民さんがこっそりお撮りになった写真がFACEBOOKに載ったのを、夫が見付けて取り込んだのが次の写真です。まったく偶然とはこういうことかと不思議に思います。嬉しいことが重なり、「あー、無理して来て良かった」と、しみじみ思いました。
この日の演奏はバッハのリュート組曲ばかり4曲と、北爪道夫さんの作曲なさった長崎キリシタンの『オラショー』、『椿姫の主題による幻想曲』の新発見楽譜の世界初演ものと、アンコールにやはりバッハのソナタ1番からフーガを、3本のギターを曲に合わせてお換えになっての演奏でした。その演奏はもううっとりするほど素晴らしく、六十歳になられてますます円熟味が加わり、芸術そのものでした。夢見心地でお聴きしました。お隣でお母様も1曲終わるごとに感嘆のため息のようなものをつかれるのでした。そうして私と顔を見合わせて、『よくもまあ! あんなに指を動かし続けて、、、』なんておっしゃるのです。80歳を過ぎていらっしゃるのに、かくしゃくとして、たびたび大阪から出て来られるそのエネルギーはしっかり世界中で活躍される息子さんである進一先生に引き継がれているのだと思いました。お母様は普通の母親がドキドキしながら我が子の演奏を聴くというような雰囲気ではなく、堂々と構えて聴いていらっしゃるふうに見えました。
 終了後は大急ぎで東京駅へと向かいました。ホームには列車の到着する度にお掃除と点検をするスタッフが並んでいて、彼・彼女らのきびきびと仕事をする様子はいつ見てもすばらしいのひと言です。米沢駅から家までも雪の降らない幸運な夜でした。無事帰宅できて、素晴らしい一日をありがとう!